★★★★★
直木賞受賞作としては珍しく、大変に面白い小説でした。
小説の大部分を主人公で歌人、小説家の三宅花圃の師匠であり、樋口一葉の師匠である中島歌子の手記という形で幕末の状況を述べる形です。
史実を元にした歴史小説というか恋愛小説というか、波瀾万丈の歌子の半生を飽きさせずに読ませる技は素晴らしいと思いました。
幕末といえば薩長や幕府の男性が主人公の小説ばかりですが、女性を、しかも知る人は知っているのかもしれませんが一歌人にスポットライトを当てている点も珍しく、さらりと読了することができました。
読後感も良かった、良い小説だと思います。